ブログトップ | ログイン

Challenge for dream !

dreamk.exblog.jp

夢に向かってチャレンジ!

No.328 金環日食

 2012年5月18日 金曜日  晴れ

5月21日に金環日食が起こりますが、眼科医としては注意を促したいことがあります。

以下に関連する記事を掲載します。



「1000年に一度の金環日食で"日食網膜症"に警告」

薬局新聞 5月16日(水) 配信

1000年に一度の金環日食で"日食網膜症"に警告 日本眼科学会などが注意喚起

児童を中心に"日食網膜症"への注意を。今月21日に過去類をみない規模での
観測が実現することで話題を集めている金環日食に際し、日本眼科学会などは
「不適切な観察方法による眼傷害リスクが上昇する」と警告している。ほぼ全
国の広範囲で身近に確認される非常に珍しい現象に加え、金環状態が午前7時
半過ぎという通学時間帯に起こるため、好奇心旺盛な子どもをはじめ肉眼で太
陽を見るなどでの眼傷害が多発する事態が心配されるもので、ヘルスケアの観
点からも正しい知識と情報を整理しておく必要がありそうだ。

最悪1000人規模の患者発生も予測

太陽光による眼の傷害は古くから確認されており、日本眼科学会によると不
適切な日食観察で視野に黒い点が残る中心暗点、歪む変視、視力低下などの症
状を及ぼす日食網膜症としては、1936年(北海道北東部皆既日食90例)と78年
(部分日食46例)において文献が報告されているほか、最近では09年にあった
皆既日食でも傷害例が確認されている。また、今回の日本と似た状況として19
12年にドイツでは3500人の傷害が報告されていることから、学会では「場合に
よっては1000人規模に達する」と警戒している。

先ごろ都内で行われたセミナーで同学会常任理事の大鹿哲郎・筑波大学眼科
教授は、「以前は太陽光で網膜内の温度が上昇することによる熱傷害説が有力
だったが、近年は(可視光や眼に見えない赤外線中に含まれる)青色光が網膜
に到達して網膜に損傷を及ぼす光化学傷害説が有力となっている」と日食網膜
症の機序を解説。傷害の程度は曝露量率と曝露時間の積で発生するため光の強
弱や時間に限らず、光化学傷害は累積するので短時間の観察でも回数が重なる
と傷害を及ぼすといった実態を説明した。

日食網膜症自体は時間の経過とともに改善される軽度なものだが、大鹿教授
は「数年前の日食傷害が検診で発覚するケースもあり、過去の観察で網膜症を
生じている潜在例はかなり多い」など傷害が重度となると眼の機能低下に及ぼ
す影響も指摘。また、「眼科治療ではエビデンスを伴う有効な治療法はなく、
予防が非常に重要」として、適切な観察方法の普及と、早期の観察中止や受診
などトラブル時の対処を啓蒙する重要性を訴えた。

知識ない子どもや運転中の観察などにも注意

同じくセミナーで日食の実態を解説した2012年金環日食日本委員会副委員長
の大西浩次・長野工業高等専門学校教授によると、今回は金環日食以外のエリ
アでも日本全国で日食状態が観測でき、時間帯的に知識を持たない子ども達が
裸眼で見たり、車の運転中に気を取られることでの事故などにも注意が必要と
いった社会的な影響も指摘されるという。

太陽は面積が少なくても強力な光を放ち、直接の観測には必ず市販されてい
る専用の眼鏡などを使うほか、大西教授はピンホール効果などで投影したり木
漏れ日を見るといった間接的で安全な観察方法も推奨している。



「日食観察グラスの粗悪品に注意!」

日本眼科医会は5月21日の日食時の観察方法について、間接観察法である木もれ日の影や厚紙に開けた小さな穴が投影する太陽を観察する方法や、日食観察専用のグラスなどを利用した直接観察する方法を推奨しています。
しかし、日食観察グラスはJISやNASAなどの太陽観察用の基準に準拠していない粗悪品(最安値128円など)がネットなどで多く流通しています。日食観察グラスは公的な安全基準がないために、使用方法によっては日食網膜症の発生が危惧されます。

消費者庁のホームページに、プレスリリースが掲載されました(5月16日)。
「日食観察用グラスの使用に当たっての注意喚起」
http://www.caa.go.jp/safety/pdf/120516kouhyou_1.pdf


一部日食グラスに粗悪品か 消費者庁が緊急調査始める
http://www.asahi.com/special/2012annulareclipse/TKY201205160547.html

 21日の金環日食を前に、消費者庁の福嶋浩彦長官は16日、市販の観測用
グラスの中に粗悪品が含まれている恐れがあるとして、緊急調査に乗り出した
ことを明らかにした。国民生活センターと協力して商品テストを実施、目を痛
める危険があれば、週内にも製品名を公表する方針だ。

 金環日食観測で太陽を直接見ると網膜を傷つける危険がある。そのため、観
測用グラスの利用が勧められているが、「太陽光を十分遮らないグラスが販売
されている」との情報が同庁に寄せられた。金環日食を楽しみにしている子ど
もたちも多く、粗悪品があれば影響が大きい。製品をできる限り集め、安全性
を確かめることにした。

 福嶋長官は会見で、室内の蛍光灯にかざし、その形がはっきり見えるものは
危ないなど、天文関係者らでつくる「2012年金環日食日本委員会」が示し
た粗悪品の見分け方を紹介。家庭でも独自にチェックしてほしいと呼びかけた。
by Challenge-dream | 2012-05-18 22:31 | できごと

by Challenge-dream